傘の先端や水滴はトラブルにつながることも(Aarrttuurr/stock.adobe.com)
駅の階段で前を歩く人が持つ傘の先に、ヒヤッとしたことはありませんか。「迷惑だと感じた傘のトラブル」について、アンケートしたところ、3914票が投じられました。最多は「傘の先を向けられた」。中には実際にけがをしたという人も。傘が手放せなくなる季節、傘の先端、あなたは意識してますか。
【写真】駅ホームのごみ箱に捨てられた壊れたビニール傘
日本洋傘振興協議会の広報室によると、傘の先端部分の正式名称は「石突(いしづ)き」。何本もある傘の骨を束ねる支柱の支点です。長傘の場合、「石突きは、中棒に確実に固定されていること。また、石突きの先端はほぼ平面で、その表面積が20mm2以上であり、その周囲は鋭利でないこと」という基準があります。
■7割が「経験あり」
6月10~16日、神戸新聞社はツイッターのアンケート機能を使ったところ、「傘の先を向けられた」(74%)、「傘の水滴をかけられた」(13%)、「傘のトラブルなし」(10%)、「その他」(3%)でした。一部のコメントを紹介します。
<経験ある、見たことある>
駅の階段を上るときに、顔をあげると前の人の傘の先が目の前にあった/傘を大きく振って歩いている人がすごく不快/私でも胴体に当たりそうで怖いと思うのに、子どもならもっと顔とか突かれそうで怖いんじゃないかなと思います/カバンの持ち手の部分に傘を横にして持っておられる方を時々見かけます/楽な持ち方だけど、かなり危険であるとの認識は薄いと思います
<被害にあった>
傘をスキーのストックのように後ろに勢いよく振る方の傘が脛を直撃した/傘の先が足に当たり、ストッキングは破れ、出血した
■「肋骨にヒビが入った」
東京都は2013年1月、降雨時のヒヤリ・ハット体験の有無などをインターネットでアンケート。都内在住3000人のうち1657人が傘によるヒヤリ・ハットやけがの体験をしていました。「満員電車で、誰かが水平に持っていた傘が脇腹にぶつかり、肋骨にヒビが入った」という52歳女性も。東京都生活安全課の担当者は「駅の階段で水平に持った傘は、後ろの人の顔をかすめることもあり大変危険。けんかなどのトラブルに発展するケースも見られます」と注意を促します。
■鉄道各社も呼び掛け
JR西日本(大阪市)は、「ちょっとちょっと!なマナーいきものペディア」の第13弾として、19年5月から「マナーいきものペディア あかんおに」を公開。「ついつい無意識に周囲のお客様を困らせてしまうテーマ」ということで傘の先を向ける「あかんおに」を採用。「うしろで傘が当たってあかんおに」「傘は下に向けて人に当たらないよおに」と関西弁とだじゃれを織り交ぜたコピーで呼び掛けています。実際に苦情を尋ねると、「統計は公表していませんが、お客さまからは『駅の階段で前のお客さまが横に持っていた傘が顔に当たりそうになった』『ホームを歩いているときに子供の顔に当たりそうになった』といった意見が寄せられました」。
JR西の赤鬼に対し、東京は“おしゃれ野菜”。東京・秋葉原と茨城県つくば市を結ぶ「つくばエクスプレス」(東京都千代田区)は2019年6月、マナー啓発シリーズ「やさしいやさい」の最新版として、傘に似たヨーロッパ発祥の野菜ルバーブを登場させ「傘の先端は下に向けルバーブ。やさしいやさいルバーブは、傘の先端が周りのお客さまに当たらないように、下に向けて持っているから、安心だね」と呼び掛けています。
駅や電車内の傘マナーについて、JR西日本広報担当者はこう結びます。
「傘は横に持たず縦に持っていただき、特に車内では畳んでお持ちいただくなど、周囲のお客さまにもご配慮をお願いいたします」。
じめじめした梅雨の季節。ちょっとした気配りで気持ちよく乗り切りたいですね。(ネクスト編集部 金井かおる)
引用:神戸新聞
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